9月1日夜、ホアイ川広場で「ホイアン・クリエイティブウィーク2026」の閉幕式が行われ、5日間にわたるプログラムが幕を閉じました。期間中は、展示会やトークセッション、研修、アートパフォーマンス、クリエイティブ商品の紹介、地域との交流など、さまざまな催しが行われました。
(一部の見学・展示・体験プログラムについては9月2日まで引き続き一般公開されました。)



「文化遺産、そして創造に触れる旅」をテーマに開催された今回のクリエイティブウィークでは、行政機関や職人、若者、企業、デザイナー、専門家、国内外の団体などさまざまな立場の人々が交流する機会が生まれました。
期間中のさまざまな活動を通して、今後に向けた課題もより明確になり、「伝統工芸の村はどのように変化していくべきか」、「若者はこれからの都市づくりにどのように関わっていくのか」、「さまざまな創造的な人材や資源をどのようにつなげていくのか」、そして、「今回のウィークで生まれたアイデアを、イベント終了後にどのように実現していくのか」といったテーマについて、今後も検討や取り組みが続けられていきます。
政策議論から、伝統工芸の村が抱える具体的な課題へ

「ホイアン―創造を育む土地」をテーマにしたトークセッションでは、政策や資源、データ、文化遺産の保全、地域コミュニティの力などをめぐって意見が交わされました。その中で共通して示されたのは、文化遺産の保全を旧市街や伝統工芸の村、そこに暮らす人々の経済・文化・社会の活力と結びつけていく必要性です。また、新たなアイデアを試し、人や資源をつなぎ、具体的な取り組みへとつなげていくための環境をさらに整えていくことも求められています。
若者の役割についても、より長期的な視点から考えられました。UN-Habitatからは、若い世代が早い段階から文化遺産や創造、持続可能な発展について学び、段階的に地域が抱える課題の発見や解決に関わっていけるよう、道筋をつくっていくことが提案されました。その中で、職人や専門家、実践の場ともつながりながら、地域の課題に取り組んでいくことが重要とされています。
「伝統工芸村をデジタル化へ」をテーマにした一連の研修では、職人や事業者、企業の日々の活動により近い視点から、伝統工芸のあり方が考えられました。顧客のニーズや購買行動、体験のデザイン、後継者不足などをテーマに、参加者は「商品をただ販売するのではなく、伝統工芸の村だからこそどのような体験を提供できるのか」という問いについて考えました。
キムボン(Kim Bồng)の事例やナムカオ(Nam Cao)の絹織物の村の取り組みからは、商品開発の新たな可能性を考えることが職人の生計や次の世代の担い手、そして職人自身が培ってきた知識や技術の価値を見つめ直すことにもつながることが分かります。
次にタインハー・テラコッタパーク(Công viên Đất nung Thanh Hà)で行われた実践セッションでは、職人や若者、事業者、研究者がともに、商品やサービス、空間、資源をどのようにつなげていくかを考える「共創」へと取り組みが広がりました。その中で、デジタル化についても、単に商品をデジタルプラットフォームに掲載することにとどまらず、事業のあり方や、どのような体験を生み出していくのかという、より幅広い視点から考える必要性が示されました。
市民や旅行者が気軽に参加できる場も
専門的なセッションに加えて、市民や旅行者が参加できるさまざまなプログラムも行われました。
「Xuyên Mạch Nghệ(アートを巡る)」では、参加者がオンラインマップを使って文化遺産を巡り、各スポットでチェックインしたり、クイズに答えたりしながら、それぞれの場所にまつわる物語に触れる体験を楽しみ、また、博物館や伝統工芸の活動拠点では、お面の絵付けやゾー(dó)紙を使った版画、リサイクル素材を使った制作体験、伝統的な手仕事の技法を直接学ぶ体験など、さまざまなプログラムが行われました。
各プログラムは、ホイアン、ホイアン東地区、ホイアン西地区の各地区に加え、タイヒエップエリアにも広がり、キムボンやタンハー、カムタインなどの伝統工芸の村をはじめ、学校や事業者、クリエイティブな活動拠点などでも行われました。こうした開催スポットの広がりにより、文化活動や伝統的な仕事に携わる地域のコミュニティも参加し、ホイアンにおける文化や創造性に触れる機会が地域全体へと拡大したと言えるでしょう。
また、HDBank、Beat Network、タインハー・テラコッタパーク、MCV Network、Ansaeng、Hoianlifeをはじめ、30を超える地元企業が広報や運営、さまざまな面でプログラムを支えました。こうした地域の企業や団体による参加からも、ホイアンでクリエイティブな活動を進めるために必要な人材やネットワーク、さまざまな資源がすでに地域の中にあることが分かります。
文化遺産を新しい形で伝える試み
クリエイティブウィークでは、文化遺産をデザインやテクノロジー、現代の暮らしと組み合わせ、新たな形で伝える試みがさまざまな展示を通して行われました。
「Xuyên mạch Văn hóa – Sáng tạo vươn xa(文化をつなぎ、創造を広げる)」では、伝統芸能遊びのバイチョイやホイアンの街並み、伝統歌劇のハットボイ、そして人々の日々の暮らしをモチーフに、書体(typeface)やアニメーション、アートトイ、さまざまなデザイン作品が制作されました。



「手仕事でつくる」では、地域に受け継がれてきた知識や技術を現代のデザインと組み合わせる試みが行われました。「Chạm Truyền thống(伝統に触れる)」では、素材や手仕事の技法を身近に感じてもらえる体験が用意され、「Chạm Sáng tạo(創造に触れる)」では、ベトナムのブランドやクリエイターが一般の人々と直接交流できる場がつくられました。
これらの活動に共通しているのは、文化遺産を商品やビジュアル、体験、新たな表現を生み出すための「知識」として、これからも活用していこうという考え方です。
クリエイティブ空間デザインコンテスト―想像を創造へ
「ホイアン・クリエイティブ空間デザインコンテスト2026」は、これまでの議論を具体的な提案へとつなげる取り組みの一つです。uất cụ thể.
8月29日に行われた最終審査には、建築家や学生、アーティスト、ホイアンの若者、企業関係者、そして長年にわたって地域の仕事に携わってきた人々など、さまざまな立場から参加者が集まりました。キムボンの職人一家からは、かつて村の歴史と深く関わっていた帆船「ゲーバウ(ghe bầu)」の姿を復元する提案が寄せられたほか、地域での体験や文化遺産、公共空間の活用方法に着目した提案もありました。
審査員はそれぞれの提案について、実現可能性、地域とのつながり、地域ならではの価値、運営のしやすさ、そして長期的な発展の可能性などを中心に評価しました。


閉幕式で発表された受賞作品は以下の通りです。
A部門:専門部門
- 準優勝(同率):Pavilion Spirit – A031 – NMKT
- 準優勝(同率):After Latern – A044 – Phan Thanh Tín
- 第3位:Mạch Nguồn – A009 – Bùi Văn Quốc Trung
B部門:コミュニティ部門
- 優勝:Bến Tái sinh – B019 – Công ty TNHH Sản xuất và Thương mại Hội An Wood
- 準優勝:An Trong Hội – B009 – Đinh Lê Thảo Uyên
- 第3位:Hộ chiếu di sản Hội An – B020 – Công ty Cổ phần Santani
このコンテストは、ホイアン世界文化遺産保護センターとUN-Habitatが実施する「持続可能な都市づくりに向けた若者と地域のイノベーション促進」プロジェクトの一環として開催され、また、Fondation Botnarの助成を受け、AIA Southeast Asiaが専門面で協力しています。
本コンテストで選ばれた提案の中からさらに1つのデザインが絞られ、専門家のサポートや実施に必要な支援を受けながらホアイ川広場で試験的に展開される予定です。
この先に向けて、誰がどのように取り組んでいくのか?
「ホイアンの若者とクリエイティブ産業」をテーマにしたトークセッションでは、コンテストやこれまでの研修、トークセッションなどで得られたアイデアや意見を持ち寄り、参加者が一緒に今後の取り組みについて話し合いました。
参加者は、ホイアンのクリエイティブ空間をどのような活動に活用していくのか、運営の中心を担うのは誰なのか、職人や伝統工芸の村、若者、企業はどのように参加していくのか、そして、「ホイアン・クリエイティブ・コネクション」ネットワークをどのように維持していくのか、といった具体的な問いをもとに議論を実施。
参加者はアイデアを出すだけでなく、取り組むテーマを選び、グループで議論し、提案に意見を出し合いながら、今後も関わっていきたい活動を考えました。こうした議論を通して、ホイアンのクリエイティブ空間について考える際の視点も、空間そのもののデザインだけでなく、そこに関わる人々や活動内容、協力の仕組みへと広がりました。
イベント閉幕後も続いていく取り組み

閉幕式で、ホイアン世界文化遺産保護センターのファム・フー・ゴック(Phạm Phú Ngọc)所長は、「イベントが終わっても、そこから新たな物語やインスピレーション、これからの取り組みにつながる新しいヒントが生まれます」と述べました。
また、ホイアンの創造性は何世代にもわたって地域の人々が受け継いできたものを土台にすることが大切だと強調し、「今を生きる私たちの役割は、まったく新しいホイアンをつくることではありません。これまで受け継がれてきた価値から新しい価値を生み出し、記憶からインスピレーションを生み出す。そして、文化遺産から創造を生み出し、その創造によって、文化遺産がこれからも息づき、発展し、未来へ受け継がれていくようにすることです」と続けました。
クリエイティブウィークを経て、今後取り組むべきこともより明確になりました。若い世代が関わっていくための道筋をつくること、伝統工芸の村が顧客のニーズを理解し、新たな体験を生み出せるよう支援すること、職人やデザイナー、企業が協力する機会を増やすこと、具体的なプログラムを通してホイアンのクリエイティブ空間を運営していくこと、「ホイアン・クリエイティブコネクション」ネットワークを維持していくこと、そして実現可能な提案を実際の取り組みへとつなげていくことです。
つまり、2026年のホイアン・クリエイティブウィークの成果は、5日間に行われた活動だけにとどまりません。期間中の議論を通して、今後さらに掘り下げ、試し、具体的な行動へとつなげていくべき課題が数多く見えてきたことこそ、大きな成果と言えるでしょう。これらの課題に向けた取り組みを一つひとつ進めていくことが、文化遺産や地域コミュニティ、そして今あるさまざまな資源を土台に、ホイアンが「創造都市」として発展していくための次のステップとなります。
ダナン観光促進センター







