ニューヨークタイムズが提案する、36時間で巡るホイアン|遺産・食・暮らしの風景

14/04/2026
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一つのエリアの中で、歴史や文化、食といった多彩な魅力を自然に体験できる街、ホイアン。このたびニューヨークタイムズは「36 Hours in Hoi An」と題した記事で、短い滞在でもその魅力をしっかり味わえる過ごし方を紹介しました。ニューヨークタイムズの視点から見たホイアンは、どこか懐かしさを感じさせながらも、新たな魅力に出会える場所として描かれています。

ホイアンは時の流れを感じさせる古い町並み、文化や食、そして現代の暮らしが調和する場所です。日中は細い路地を歩きながら、工芸店や仕立て屋、昔ながらの市場に立ち寄り、ローカルの暮らしに触れることができます。夜になるとトゥボン川がまちの中心となり、ランタンの灯りが水面に映り込むことで、ロマンチックで特別な風景が広がります。その光景はほかではなかなか出会うことができない、ホイアンならではの魅力の一つです。

旅のはじまりは、歩いて巡れるコンパクトな旧市街から。ホイアン市場では19世紀から続く食文化の面影とともに、今もなお色濃く残るローカルの空気を感じることができます。また、博物館や各種会館を訪ねることで、日本や中国、東南アジアとの交易の歴史にも触れられます。ドゥックアン家やクアンタン家といった古民家は、単なる歴史的建造物ではなく、かつての商人の子孫によって今も大切に守られており、往時の港町の暮らしを生き生きと伝えています。そして、400年以上の歴史を持つ来遠橋(日本橋)は、この町を象徴する存在であり、旧市街に息づく文化の交わりの象徴となっています。

まちを巡る体験とともに楽しめる、もう一つの旅の軸として紹介されるホイアンの食。カオラウやチキンライス、そしてホワイトローズといった名物料理は、単に味わうだけでなく、それぞれが文化や歴史の背景と深く結びついています。なかでもカオラウは、味付けされた豚肉、コシのある麺、香ばしく揚げた豚の皮、そして香草が組み合わさり、中国や日本の影響とベトナム独自の食文化が重なり合う一皿として、その特徴をよく表していいると言えるでしょう。また、カオラウバーレーやクアンタン家などは、食と歴史がひとつの空間で調和する場所として印象的な存在となっています。

伝統にとどまらず、ニューヨーク・タイムズの記事では新しい食の体験やクリエイティブな取り組みにも多くの紙面が割かれています。「Mùa(ムア)」は、その名のとおり“季節”を意味するレストランで、湖畔の屋外空間の中、地元食材を現代的にアレンジした15品のテイスティングコースを楽しむことができます。また、「tok.」のようなレストランでは、ベトナムの食材にヨーロッパの技法を融合させることで、料理の可能性をさらに広げています。田園風景を望む開放的な空間も、その魅力の一つです。

食だけでなく、現代的な文化体験にも注目が集まっています。ホイアン・ルーンセンターでは、「テー・ダール(Teh Dar)」が上演されており、竹で造られたアーチ型の劇場を舞台に、サーカス、コンテンポラリーダンス、そして中部高原の文化が融合したパフォーマンスを楽しむことができます。籠舟を使ったダイナミックな回転や、ゴングの響き、仮面の表現などが重なり合い、生命の循環を想起させる物語が描かれ、芸術性の高い体験を生み出しています。

ホイアンの魅力は旧市街だけではありません。チャークエ野菜村では、「Café Slow」のような畑に囲まれた静かな空間ですごせるカフェで、鳥のさえずりややわらかな風を感じながら、一日の始まりを穏やかに迎えることができます。また、「An Nhàn」をはじめとする文化空間や伝統的な工房も、ホイアンでの体験の幅をさらに広げ、訪れる人々とローカルの暮らしを繋いでくれる場所です。

海もまた、ホイアンでの旅に欠かせないスポットの一つです。夕暮れが近づき、日中の暑さがやわらぐ頃、ひんやりとした海に身をゆだねながら、五行山とソンチャ半島のあいだにたなびく淡い霞を眺める。そこにはまるで水彩画のような風景が広がっています。記事で紹介されているのはにぎやかなビーチではなく、静かな場所。自然のままの美しさが今も残るビーチでは、穏やかな時間を過ごすことができます。

夜が訪れると、また違った表情を見せるホイアン。ランタンの灯りと川の流れ、そしてゆったりとした時間の流れが重なり合い、ロマンチックで落ち着いた雰囲気が漂う中で、バーや川を望むルーフトップ、川沿いのダイニングなど、昼とはまた違った楽しみ方ができます。

旅の締めくくりには、お茶を堪能することで心がゆるやかに整います。時間とともに移ろう茶の香りや味わいが、ベトナムの喫茶文化の奥深さを感じさせてくれるでしょう。それは単なる体験ではなく、ホイアンを最も静かに味わえるひとときです。

ニューヨークタイムズによる今回のホイアン特集の記事は、単なる観光地紹介にとどまらず、一つの「体験の流れ」を描いた内容となっています。36時間という時間の中で楽しめるコンパクトで分かりやすい滞在プランや旅のヒントをシェアし、朝の旧市街の散策から始まり、地元グルメを味わい、伝統的な工芸や村を訪ね、最後はホアイ川のほとりや現代的なアート空間で一日を締めくくる、読者はそんな過ごし方を具体的に思い描くことができます。

こういった見せ方によって、ホイアンでの旅のイメージがより具体的に伝わり、旅行者は、どこへ行き、何を体験し、どこから旅を始めればよいのかを自然に思い描くことができます。また、あらかじめ完成された旅行プランを提示するのではなく、さまざまな体験が選択肢として示されているため、それぞれが自分のペースや興味に合わせて自由に旅を組み立てられる点も魅力的に映ります。

ニューヨークタイムへの掲載は、大きな波及効果も期待できます。記事内容が引用されたり、SNSで拡散されたり、さらに旅行プラットフォームや海外のコミュニティによって再び紹介されたりすることで、より広い層へ情報が届けられる機会が広がります。その結果、支出額が高く、特別な体験を求める旅行者層へのアプローチにもつながるでしょう。旅行者が信頼できる情報源をもとに旅行先を決める傾向が強まっている昨今、今回のような特集記事は、その観光地の信頼性や魅力を裏付ける大きな後押しとなります。

今回特に注目すべきなのは、紹介されている内容が、ホイアンの旧市街だけで完結していない点です。ホイアンを起点に、海や周辺の村、さらには中部エリアの近隣スポットへと自然に足を延ばすことができ、旅の楽しみ方に広がりをもたらしています。こうしたキュレーションにより、滞在の幅を広げ、滞在時間の延長や体験価値の向上にもつながる可能性が示されています。

このような流れの中で、ホイアンは単に保存状態の良い世界遺産としてだけでなく、人々の暮らしや文化が今も息づく「生きた遺産」として捉えられています。文化、食、そして現代の生活まで、一つひとつの体験がこの場所ならではの魅力を形づくっているのです。そして、その物語が世界的なプラットフォームで発信されることで、旅行者の旅はその地に足を踏み入れる前から既に始まっていると言えるでしょう。



ダナン観光促進センター

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