国際会議や展示会、大規模な国際イベントの誘致をめぐり、都市間の競争が激しくなる中、パートナーとのネットワーク拡大はMICE観光の発展において重要な要素となっています。
2026年ダナン国際観光フェスティバル(DITF 2026)では、関係者間の交流や連携協定の締結に向けた取り組みが行われました。これらの取り組みを通じて、MICE観光の誘致・プロモーションを促進し、2027年以降、より多くの海外団体旅行客をダナンに誘致することを目指しています。

観光地としての強みを生かし、国際イベントの誘致戦略を推進
近年、会議・研修、報奨旅行、国際会議、展示会などを組み合わせたMICEは、多くの観光地において、観光振興戦略の重要な柱となっています。
一般的な観光旅行とは異なり、MICEでは、同じ時期に多くの参加者が訪れるとともに、航空、宿泊、会議、飲食、交通、観光・体験プログラムなど、幅広いサービスへの需要が生まれます。
ダナンは、充実した観光インフラやホテル、ビーチ沿いのリゾート施設、会議施設に加え、中部地域の文化遺産や観光地へのアクセスにも優れた都市であり、こうした強みがMICE観光の発展を支える基盤となっています。
しかし、MICE開催を促進するにあたっては、充実した施設や観光資源を備えているだけでは十分とは言えません。国際会議や展示会、企業主催の国際イベントを誘致するには、幅広いパートナーとのネットワークを構築し、適切な主催者にアプローチするとともに、運営に伴う複雑な要件にも対応できることを示す必要があります。
こうした連携の取り組みは、2026年10月16日から19日までダナンのアリヤナ国際会議場で開催されている「ダナン国際観光フェスティバル2026(Danang International Tourism Festival – DITF 2026)」においても、注目すべきテーマの一つとなっています。
ダナン観光協会が主催し、HORECFEXベトナムと連携して開催されるDITF 2026は、国内の観光事業者が旅行会社やサービス販売事業者、観光・会議・イベント分野の関係機関と交流できる国際観光商談会です。
「つながりから、未来を創る」をテーマに、観光商品の紹介にとどまらず、将来的なビジネスの展開や実際の送客につながる協力関係の構築を目指しています。
MICE誘致には、開催地の紹介にとどまらない取り組みが必要
国際MICE市場の特徴の一つは、複数の候補地を調査・比較したうえで、開催地が決定されることです。
例えば、500人規模の会議を計画する企業は、会場の収容人数だけでなく、宿泊施設の確保、航空便の利便性、移動手段、食事の提供、技術設備、予算、さらにイベントの前後に参加者が楽しめる観光プログラムなど、さまざまな条件を考慮する必要があります。
大規模な団体の場合、観光地の景観や価格だけでなく、旅行全体を通じて安定したサービス品質を確保できることも重要です。
そのため、MICE誘致では、ホテルや会議場を個別にPRするだけでなく、開催地全体としてのイベント運営能力をアピールすることが求められます。
そのためには、宿泊施設、会議場、航空会社、旅行会社、交通事業者、技術・イベント運営サービスの提供事業者など、さまざまな関係者の連携が欠かせません。
中でも、DMC(Destination Management Company:デスティネーション・マネジメント・カンパニー)と呼ばれる現地手配会社は、海外のパートナーのニーズと現地のサービス事業者をつなぐ重要な役割を担っています。
会議プログラムが競争力を持つためには、スケジュールや費用、運営体制の面で実現可能な、総合的な開催プランを関係者が提示できることが重要です。
そのため、ダナンは今後も、国際会議の誘致を推進する団体や国際イベントの企画・運営を専門とする企業、大規模なイベントをダナンに誘致できるパートナーのネットワークとの関係を、さらに拡大していく必要があります。
MICE誘致に関するMOU:ネットワークの構築を通じて市場機会を拡大
国際市場の開拓において、MOU(Memorandum of Understanding:協力覚書)は、観光分野で活動する団体や企業間の連携方針を定める役割を果たします。

MICE分野において、誘致に関する協定の意義は、パートナーとの関係を広げることだけではありません。それは、アジアをはじめ、さらに幅広い市場で会議やイベント、報奨旅行の開催を検討しているネットワークとダナンをつなぐことにもあります。
こうした連携を通じて、関係者は観光地の共同プロモーションや市場情報の共有、イベント運営能力の紹介、見込み顧客へのアプローチに加え、ニーズに合ったMICEプログラムの開発に向けた検討を進めることが可能になります。

特に、海外のパートナーは、企業や団体が会議の開催地を選定する際、ダナンを候補地の一つとして紹介する橋渡し役にもなります。
これは、MICE分野では、主催者が企画を立ち上げ、開催国を選び、候補地の視察を行う段階からビジネスの機会が生まれるためです。
初期段階での情報収集や候補地の選定において、ダナンが候補に挙がらなければ、いくら充実した施設を備えていても、誘致の機会を逃してしまう可能性があります。

そのため、MICE誘致に関する協定は、単発のプロモーション活動にとどまらず、長期的な市場開拓につながるルートを構築することを目指す必要があります。
協力覚書は、将来、国際会議やイベントの開催地を決める企業や団体との関係を築き、ダナンへの誘致につなげるうえで重要な役割を果たします。
協力協定から実際のMICE団体の誘致へ
MICE分野では、協力の機会が実際のイベント開催契約に結びつくまでに、いくつもの段階を経る必要があります。
パートナーとの接点を得た後、事業者は団体の規模、開催予定時期、プログラムの内容、予算など、具体的なニーズを把握します。そのうえで、関係事業者が連携し、宿泊施設、会議場、交通手段、食事、その他の付帯サービスを含む開催プランを提案書にまとめます。
初期の提案内容が要望に合っていれば、パートナーは次の段階として、開催候補地を実際に訪問・視察するサイトインスペクションを行い、施設や運営体制を直接確認します。
多くの国際イベントにおいて、これは開催地を決定するうえで重要な段階です。会場の収容人数や紹介写真だけでは、複雑なイベントを実際に運営できるかどうかを十分に判断できないためです。
現地視察では、移動の利便性、客室の水準、会議設備、サービスの質、関係事業者間の連携体制などを確認できます。

関係者間での協議や開催プランの調整、取引条件の合意を経て、初めて協力の機会が契約の締結や実際のイベント開催へとつながります。
このことから、MICE誘致の成果は、商談の件数や締結した覚書の数だけでは測れないことが分かります。
事業者から開催プランの作成を依頼されたか、現地視察の日程が決まったか、契約交渉が進んでいるか、団体客の来訪が正式に決定したかといった点が、誘致活動を実際のビジネスにつなげられているかを評価する重要な指標となります。
特に、国際会議やイベントは準備に長い時間を要することが多いため、DITF 2026で築かれたネットワークは、2027年以降に開催されるプログラムの実現に向けた基盤となることが期待されます。
MICE観光が生み出すサービス産業全体への波及効果
MICE観光の大きな強みの一つは、一つのプログラムを通じて、幅広い業種に収益をもたらすことができる点です。
例えば、国際会議の参加者が数百室の客室を利用し、滞在中に複数の会議やレセプション、チームビルディング、観光ツアーなどを実施するケースがあります。
このような場合、会議場や宿泊施設の利用による収益だけでなく、交通事業者やレストラン、音響・映像機器の提供事業者、イベントの演出・運営会社、観光施設、地域ならではの体験サービスを提供する事業者にも、新たな需要が生まれます。
特に、会議の参加者が会議後も滞在を延長する場合、ビーチリゾートでの滞在やゴルフ、ウェルネス、ホイアンやフエの文化遺産を巡る観光などを通じて、団体客一組あたりの経済効果をさらに高めることが可能です。
こうした波及効果からも、MICE観光の発展は、大規模なホテルや会議場だけの問題ではないことが分かるでしょう。
MICE観光をきっかけに、中小企業にも、飲食や交通、体験型プログラムの企画・運営、地域ならではの商品・サービスの提供など、サプライチェーンの一員として参加する機会が生まれます。
ダナンにとって、こうした幅広い事業者の参加は、国際的な大規模イベントの誘致を通じて、より多くの事業者がその恩恵を受けられるよう、連携を重視したMICE観光の発展を目指すための基盤となります。
ダナン、2027年に向けてMICE観光の質的な発展を目指す
2026年、ダナンは「ダナン ー ワンランク上のMICE体験へ」をテーマに、MICE旅行客の誘致促進プログラムを実施しています。このプログラムでは、サービスの質の向上、観光事業者間の連携強化、国内外の団体客のニーズに応じた支援策の整備に重点を置いています。
こうした方針からは、MICE観光の発展において、イベントの開催件数を増やすだけでなく、プログラムの質や参加者の満足度、さらに観光地に長期的な価値をもたらすかどうかという点も重要視されていることが分かります。
こうした中、DITF 2026での国際的な交流は、市場開拓戦略を支える重要な役割を果たすと期待されます。イベントの開催を検討している海外のパートナーに、ダナンが提供できるサービスや運営体制を直接知ってもらう機会となるためです。
ダナンには、ホテルやリゾート、会議場、各種サポートサービスが充実しており、さまざまな規模や開催条件に対応した、リゾート滞在や文化体験を組み合わせたMICEプログラムを企画できる環境が整っています。
しかし、こうした強みを持続的な競争力につなげるには、国際的なネットワークの拡大に加え、具体的な誘致計画の策定、事業者間の効果的な連携体制の構築、市場のニーズに迅速に対応できる仕組みが必要です。
こうした協力協定は、ダナンが新たな国際会議の主催者ネットワークとつながり、新たなMICEプログラムを開発するとともに、2027年に向けて国際MICEの誘致力を高めるための基盤となることが期待されます。
「つながりから、未来を創る」をテーマに掲げるDITF 2026は、MICE観光の誘致・プロモーションに新たな方向性を示す場となっています。ダナンは、本コンベンションを通じ、ダナンが持つ観光資源や施設を紹介するだけでなく、開催地としての潜在力を、将来的に実際のプログラムやイベントの開催、観光客の誘致につなげるため、実効性のある協力関係の構築を目指します。
ダナン観光促進センター







