慌ただしい日常の中で、仕事の忙しさや終わりのない締め切りに追われ、心身のバランスを崩しがちな今、本来の価値に立ち返り、心を休め、感情を整えたいというニーズがこれまで以上に高まっています。
カフェに行く、海に出かける、スマートフォンを眺めるといった従来の過ごし方にとどまらず、近年では、特に若者やオフィスワーカーを中心に、クラフトワークショップが新たな選択肢として注目されています。それは自分らしさにふれ、内面のバランスを整え、自分自身に立ち返るための一つの方法でもあります。
ホイアンのクリエイティブなワークショップは単なる体験ではなく、ゆったりとした時間の中で手を動かしながら、素材や空間、そして自分自身と向き合う時間を与えてくれます。創作をすすめるうちに、日常のプレッシャーから少しずつ解放され、自然と心も落ち着いていくでしょう。それはまさに、静けさに触れ、原点に還る旅を体感する時間でもあります。
陶芸やアロマキャンドル作り、ウールラグの手織りといった体験は、ものづくりを楽しむほか、日常の中でほっと一息つける時間にもなっています。スマートフォンやデジタル機器から少し離れ、自分のペースを取り戻し、内なる自分とゆっくり向き合う。ワークショップはもはや短時間の創作体験ではなく、リラックスし、心の動きや感覚を大切にしながら、自然なかたちで創造性を広げるための場だと言えるでしょう。
ホイアンのランタンワークショップ|古都の記憶を灯し、原点に還る旅へ
ランタンはホイアンを象徴する存在として広く知られていますが、自分の手で作ってみて初めて、その灯りの奥にある美しさを実感できます。シルクの色を選び、形を決め、竹のフレームを組み立てる。ワークショップでは、職人の丁寧な指導のもと、一つひとつの作業を丁寧に進めながら、世代を超えて受け継がれてきた技や物語にも触れることができます。

ゆったりとした流れの中で手を動かすうちに、心もまた、日常の忙しさから少しずつ解き放たれていきます。慌ただしさやプレッシャーから離れることで、素材の手触りや細やかなディテールをよりはっきりと感じられるようになるでしょう。それこそが、本来の感覚に立ち返る瞬間なのです。


ワークショップから持ち帰るのはただのランタンではなく、記憶や感情、そして自分だけの想いが込められた特別な作品です。
ホアイ川のほとりでゆったりと過ごした午後の光。
ホイアンの本質にふれ、自分自身と向き合った記憶。
自分の手でつくるランタンには、そういった「瞬間」が確かに刻まれているのです。
タインハー陶芸ワークショップ|土のぬくもりに触れる
500年以上の歴史を持つタインハー陶芸村の陶芸ワークショップでは、まずは水分を含んだ柔らかな土に触れるところから体験がスタート。手で土をこねながら、その質感を感じ、少しずつ形を整えやすい状態にしていきます。ろくろの前に座り、回転に合わせて手を動かしていくと、次第に手の動きも安定していくのを感じられるでしょう。それは単に形を作るだけでなく、日常の忙しさから離れ、心が穏やかに落ち着いていく時間でもあります。

タインハーの職人たちは、ワークショップの中で参加者が伝統の技をより深く理解するための橋渡し役としてサポートをしてくれる存在です。手を添えて形を作り、器の縁を持ち上げ、表面の滑らかさを整える。そうやって陶器づくりにおける一つひとつの動作をゆっくりと丁寧に伝えてくれます。陶器を生み出す職人の姿は、長い年月をかけて受け継がれてきた技そのものと言えるでしょう。静かで控えめでありながら、確かなつながりを感じられるひととき。そこには、記憶と文化が息づく、ものづくりの精神が流れています。
器や花瓶、あるいは素朴で愛らしい土のオブジェなど、ワークショップが進むにつれて小さな作品たちが少しずつ形になっていきます。仕上げには自分らしい模様を加えたり、名前を刻んだりして、一つの作品として完成させます。こうして出来上がった作品を手にすると、土に触れ、ものづくりのリズムを感じ、自分自身と向き合った時間そのものが静かに感じられるでしょう。
このように、ワークショップは単なる手しごとの体験にとどまらず、参加者に「原点に還る旅」ともいえる時間を提供してくれます。そこでは人と素材、そして記憶が静かな時間の中で重なり合い、深いつながりが生まれるのです。

キムボン木工ワークショップ|伝統の技と穏やかな時間に触れる
穏やかな川辺に広がるキムボン木工村では、素朴な木が、職人の手によって少しずつ命を吹き込まれていきます。木材選びから始まるこの村の木工ワークショップでは、職人の指導のもとで彫刻体験が可能。ワークショップに参加することで、一見シンプルに見える作業の中にも、長く受け継がれてきた技と記憶が静かに息づいていることを感じられるでしょう。

工房には、ゆったりとした一定のリズムが流れ、静かに響くノミや木槌の音は決して騒がしいものではなく、日常の慌ただしさを少しずつ忘れさせてくれます。作業を進め、道具の使い方に慣れてくると、木目の表情や丁寧に刻まれていくディテールにも自然と目が向くように。キムボンでの彫刻体験を通して、ものづくりはただ作品を仕上げる作業ではなく、自然と向き合いながら、自分自身もゆっくりと整っていく時間へと変わっていくでしょう。

ここで作り上げる作品は素朴かもしれませんが、そこには見た目以上の価値が込められています。それは、一つひとつの作業に丁寧に向き合った時間や、自分の手で形にしたときの手応え。小さな作品であっても、そこにはキムボンの記憶やものづくりの息づかいが宿っています。そしてその体験は、土地の文化に触れながら、自分自身を見つめ直す「原点に還る旅」へとつながっているのです。
クイルー村の木工ワークショップ|素朴な木から広がる創造の時間
クイルー村は、木を使ったものづくり体験を楽しめる場所です。まずは自分に合った木を選び、アイデアを考えながら少しずつ作品の形をつくっていきます。このワークショップは、一つひとつの工程の中で生まれるディティールに、自然と自分らしさが現れていく点が特徴的です。
ワークショップは職人の丁寧な指導のもとで進められます。彫る、形を整える、表面を仕上げるといった基本の技術を学びながら、実際に自分の手を動かして作品を作り上げていく。はじめは思うようにいかなくても、作業を重ねるうちに少しずつ形になり、完成のイメージが見えてきます。そこには技術だけでなく、自分なりの工夫や発見も積み重なったオリジナリティが宿ります。最後に色を塗って仕上げれば、自分だけの作品が完成。自分の手でつくり上げたという実感によって、完成した作品には他の手工芸品とは違った価値が感じられることでしょう。

このワークショップは、単に技術を学ぶ場ではありません。想像力を広げながら、試しては直し、それを繰り返すことで自分なりの表現を見つけていく体験の場です。作業に没頭するうちに雑念は消え、自然とものづくりに集中することができます。
クイルー村での体験は、完成した作品の価値だけではない特別なものをもたらします。素朴な木を自分の手で自分らしいかたちへと仕上げていく。その過程こそが、この場所ならではの価値なのです。そしてその時間は、手しごとの魅力に触れながら、自分の中にある創造力に気づくきっかけにもなるでしょう。

Taboo Bambooワークショップ|竹から広がるサステナブルな暮らしのかたち
静かなココナッツの森に囲まれたTaboo Bambooでは、竹を使ったものづくり体験が楽しめます。ここでは竹は身近な素材であるとともに、環境に配慮した暮らしを考えるきっかけとしても活かされており、ワークショップでは、竹の特性や再利用の考え方について学びながら、現代の暮らしに取り入れる工夫を学びます。
制作は職人による丁寧な指導のもとで進められます。竹を切る、削る、組み合わせるといった作業を重ね、完成した作品は、小さなインテリアや実用的なアイテムとして使えるだけでなく、自然との関わり方を改めて考えるきっかけにもなります。
Taboo Bambooでの体験に派手さはありませんが、そこでは日々の暮らしを見直す気づきを与えてくれます。手を動かし、素材と向き合う時間の中で、自分にとって心地よい暮らし方を見つけていく。そんな穏やかな生き方のヒントを見つけられるかもしれません。
SOI Handmade ワークショップ ― 古布がよみがえるものづくり体験
SOI Handmadeは使い終えた布に新たな価値を与える、小さくて温かな工房です。一見不要に思える布も、丁寧な手しごととアイデアによって、もう一度かたちを変えて生まれ変わることができます。そこには技術だけでなく、一つひとつの素材を大切にする思いが込められています。
ワークショップでは、布選びから配色、裁断、縫製までの体験が可能。やわらかな空気とほのかなハーブの香りに包まれた空間の中で手を動かしていると、自然と作業に没頭してしまうでしょう。
SOIでのものづくりは、特別な技術を競うものではなく、身近な素材に新しい意味を見いだす体験です。完成した作品には、素材の背景とともにそのときの時間や気持ちも重なり、文字通り、自分だけの一品となります。
見逃せないクラフト体験
ホイアンには、アートと暮らしが自然に溶け合う体験の場が様々に広がっています。たとえば、トゥオン(伝統演劇)の仮面絵付け体験では、色彩豊かな舞台芸術の世界に触れることができます。また、ノンラー(ベトナムの円錐形の帽子)絵付け体験では、お土産づくりとしてだけでなく、ベトナム文化ならではの美しさを、自分の手でカタチにすることができます。


繊細な美しさを好む方には、ホイアンシルク村での繭から糸を紡ぎ、織り上げる体験がおすすめです。そこでは、光沢のある一本一本の糸が時間と丁寧な手仕事によって生まれていく様子に触れることができます。それぞれの体験は、素材やスタイルが異なっていますが、どれもやさしく穏やかな時間と、自然と心がつながる感覚をもたらしてくれます。
つながりと“クオリティタイム”を楽しむ空間
クリエイティブな体験という側面に加え、クラフトワークショップは、ゆっくりとした時間を過ごし、他者や自分自身とより深く向き合い、つながるための選択肢として注目されています。
二人で一つの作品を丁寧に仕上げていく、穏やかなひととき。
一人で静かに作業に集中し、自分自身と向き合う時間。
ワークショップの空気は親しみやすくオープンで、会話が自然と生まれやすいのが特徴です。初対面の人同士でも、「ものづくりが好き」「少し落ち着いた時間を過ごしたい」「日常の喧騒から少し離れたい」といった小さな共通点をきっかけに、自然とつながりが生まれやすい場所なのです。

ワンクリックであらゆるものが手に入る時代だからこそ、手仕事による体験はこれまで以上に特別な価値を持つようになっています。ワークショップは数時間ほどの短い時間かもしれませんが、仕事から少し離れ、目に見えないプレッシャーから心を解き放ち、「今、この瞬間」に意識を向けるにはぴったりの機会です。
作品とともに得られるのはリラックスした心、他者や自分とのつながり、そして内側から満たされていくような感覚。ときにこうした何気ない時間こそが、旅の中で最も心に残るものになります。立ち止まり、ゆっくり味わい、整え、そして自分らしいリズムへと立ち返る。ワークショップはそんな時間を私たちに届けてくれます。
ダナン観光促進センター