旅の思い出は、美しい景色として心に残ることもあれば、その土地ならではの文化や歴史とともに刻まれることもあります。
そしてホイアンは、多くの旅人にとって「食」が記憶に残る町。ホイアン旧市街を歩けば、街角から漂う香りや昔ながらの味に誘われ、この町ならではの食文化に出会えます。一皿一皿に、トゥボン川沿いの港町で育まれてきた歴史や人々の暮らしが息づいており、その味わいこそがホイアンの魂、大きな魅力となっています。

風情ある瓦屋根が連なり、黄色い壁の町並みと夕暮れに灯るランタンが幻想的な景色をつくり出すホイアン。そんな古都の魅力を存分に味わうなら、ローカルグルメを巡るフードツアーは欠かせません。特別に豪華な料理を探さなくても大丈夫。石畳の路地を歩き、地元で長く愛される食堂や活気あふれる市場に立ち寄るだけで、ホイアンならではの味に出会えます。一皿ごとにこの町の歴史や暮らしが感じられ、食を通してホイアンの魅力をより深く知ることができるでしょう。

ホイアンを訪れたら、まず味わいたいのが名物料理の「カオラウ(cao lầu)」です。コシのある黄色い麺に、香ばしく焼き上げたチャーシュー、新鮮なチャークエ村産の香草、そして濃厚な特製ソースが絡み合い、ほかでは味わえない唯一無二のおいしさを生み出しています。カオラウは単なるご当地グルメではありません。その一杯には、かつて国際貿易港として栄えたホイアンで育まれた歴史と、さまざまな文化が交わる中で生まれた食文化が息づいています。

カオラウと並んでぜひ味わいたいのが「ミークアン(mì Quảng)」です。中部ベトナムを代表する麺料理ですが、ホイアンでは古都ならではの趣を感じながら、特別な味わいを楽しむことができます。濃厚なだしに、エビや豚肉、ゆで卵、香ばしい焼きせんべい、そして地元の香草を合わせた一杯は、素材の甘みとコク、爽やかな香りが絶妙に調和した、クアンナム地方を代表する郷土料理です。

ホイアンのランチメニューとして欠かせないのが、「ホイアン風チキンライス(cơm gà phố Hội)」です。鶏のゆで汁で炊き上げた鮮やかな黄色いご飯に、ほぐした鶏肉、香り豊かなハーブ、玉ねぎの酢漬け、甘酸っぱい特製ソースを合わせた一皿は、素朴ながらも奥深い味わいが魅力です。素材選びから調理法まで丁寧に仕上げられたコムガーは、ホイアンを代表する郷土料理の一つ。多くの旅人にとって、ホイアンの思い出とともに心に残る味となっています。

ホイアンの食べ歩きで外せないのが、「バインミー(bánh mì)」。そのおいしさは世界中の食通を魅了し、ホイアンを代表するグルメとして広く知られています。香ばしく焼き上げたフランスパンに、肉やパテ、新鮮な香草、なます、そして特製ソースをたっぷり挟んだバインミーは、一口食べればさまざまな食感と味わいが絶妙に重なり合います。朝食にはもちろん、小腹が空いた午後や夜の食べ歩きにもぴったりで、旧市街を散策する多くの旅行者に愛される定番グルメです。


ホイアンならではの郷土料理を味わうなら、「ホワイトローズ(bánh bao – bánh vạc)」は外せません。透き通るような白い皮でエビと豚肉のあんを包み、一つひとつ花びらのように丁寧に仕上げられたその姿は、小さな白いバラを思わせる美しさ。繊細な見た目と上品な味わいで、ホイアンを代表する名物料理として親しまれています。また、サクサクと香ばしい揚げワンタン(hoành thánh chiên)、やさしい味わいのバインベオ(bánh bèo)、こんがり焼き上げた黄金色のバインセオ(bánh xèo)なども、ぜひ味わいたい一品です。いずれも地元の人々に長く親しまれてきた郷土料理で、ホイアンの豊かな食文化を語るうえで欠かせない存在となっています。

ランタンの灯りが古い町並みを優しく照らし始めても、ホイアンのグルメ巡りはまだまだ続きます。散策の合間には、地元で親しまれている素朴なおやつや甘味もぜひ味わってみてください。数種類のハーブをブレンドした爽やかな香りが楽しめるドリンク「モット(Mót)」や、やさしい甘さのトウモロコシのチェー(chè bắp)をはじめとするホイアンで昔から親しまれてきた伝統的なチェーの数々。どれも、ゆったりと流れるホイアンらしい時間の中で、ほっとひと息つける優しい味わいです。

ホイアンの食文化をより深く知るなら、早朝のホイアン市場を訪れてみるのがおすすめです。市場には、朝食の定番料理や伝統菓子をはじめ、近郊の農村や川、海で採れた新鮮な食材がずらりと並び、ホイアンならではの食の魅力が一堂に集まっています。威勢のよい呼び込みの声、小さな屋台から立ち上る湯気と食欲をそそる香り、そして地元の人々が行き交う活気ある風景。そこには、レストランでは味わえない、ホイアンの日常と食文化が息づいています。

ホイアンの食文化をさらに深く体験したいなら、料理教室に参加してみるのもおすすめです。地元の人と一緒に市場で食材を選び、ホイアンならではの食材や調味料について学びながら、郷土料理づくりを体験できます。こうした体験を通してわかるのは、ホイアンの食の魅力は、料理そのもののおいしさだけではないということ。そこには、人々が大切に受け継いできた暮らしの知恵や文化、そして世代を超えて受け継がれてきた伝統が息づいています。

ホイアンの食文化体験は、単に「食べる」ことにとどまりません。一皿一皿に込められた歴史や人々の暮らしに触れながら、古都の魅力を五感で味わう旅でもあります。趣ある黄色い町並みを歩きながら出会う一つひとつの味わいには、穏やかで素朴なホイアンの物語が息づいています。その味は、旅を終えたあとも心に残り、この町を再び訪れたくなる、かけがえのない思い出となるでしょう。
ダナン観光促進センター







