旅はただどこかへ向かうものではなく、自分を見つめ直す時間でもあります。
5月中旬、チャーザップ(Trà Giáp)では、ゆったりとした時間の中で、コール(Cor)族とカドン(Ca Dong)族の暮らしに触れられるフェスティバルが開催予定。そこには、演出された文化ではなく、日常の中に自然と溶け込んだ文化が存在しています。そうした文化に触れる体験を通して、本来の価値や自分自身と向き合うことができるでしょう。
コール族とカドン族はチャーザップの山あいで長い年月にわたり暮らしてきた人々であり、この土地の文化の土台を形づくってきました。彼らの生活は森や畑、水と深く結びついており、季節の移り変わりに合わせて日々の暮らしや自然との関わり方も変わっていきます。
2026年5月18日と19日の2日間、チャーザップ村第2集落で開催される「第1回チャーザップ少数民族文化フェスティバル」は、地域の人々の日常の中で行われます。ここでは、コール族とカドン族の文化が特別なものとして披露されるのではなく、日々の生活や仕事の中に自然な形で感じることができるのです。銅鑼の音や儀礼、手仕事、そして日々の食事に至るまで、そこにある一つひとつが、説明しなくても感じ取れる価値として、飾らず、本来の姿に近いかたちで静かに存在しています。

この祭りの空間は外から眺めるためのものではなく、その中に入って体験することにこそ意義があります。5月18日19時30分より、開会式はゆっくりと響く銅鑼の音とともに始まります。その音は祭りの空間に広がり、やがて訪れた人たちの心にも響き渡ります。祭りは特別な演出でなく、自然な流れで行われ、参加する人と見る人の間にもはっきりとした境界はありません。いつのまにか自分もその暮らしの流れの中に入り込んでいることに気づくでしょう。
5月18日から19日にかけて並ぶ伝統的な展示・体験スペースでは、地元の食べ物や手作りの品に触れたり、高床式の家がどのように建てられるのかを見たり、焚き火のそばに座って過ごしたりと、様々なカタチで民族の文化を感じることができます。そこには言葉にしなくても受け継がれてきたものが静かに残っています。どれも見せ物として作られたものではなく、本来の暮らしの中にある姿のまま、そこに存在しているのです。

銅羅の音の響きが広がるように、5月18日16時のゴング演奏コンテスト、そして同日18時のゴング舞踊の合同パフォーマンスといったプログラムが続きます。演奏チームは舞台の上だけでなく、祭り会場の中を移動しながらその響きを広げていきます。演奏チームの動きに寄り添うように歩けば、より近くで音に触れ、感情が導かれていく感覚を味わうことができるでしょう。
ひとたびその中に身を置けば、見る側と演じる側の境界さえ曖昧になっていきます。5月18日14時からの竹や籐を使った編み細工コンテストでは、職人のすぐ隣で手さばきを見学しながら、簡単な編み細工体験も可能です。また、伝統食エリアでは15時から調理の様子を間近で見たり味わったりするプログラムが行われ、地元の食材がどんな流れで調理されるのか、その一つひとつの工程を知ることができます。


同じ日の朝9時には、祭礼柱(hội thi phục dựng Cây nêu)の再現コンテストが開催。祭りの柱(カイネウ /Cây nêu)が立てられる様子や、儀式の進め方などを間近で見ることができます。
5月19日の朝8:00には少し足を延ばしてナモンの林へ向かってみましょう。木々の間を歩きながら幹に触れ、コール族やカドン族の暮らしに長く結びついてきたやわらかな香りを感じることができます。
同日朝には伝統的な祭祀(08:00)も行われ、間近で一つひとつの所作を見学することで、自然と人々の信仰とのつながりを感じることができます。
別の場所では10時から米つきと炊飯のコンテストが行われ、体験参加が可能。杵を持って米をついてみると、一見単純に見える作業にもリズムや経験が必要であることに気づくでしょう。
5月19日の午後になると祭りは少しずつ落ち着きはじめ、会場の雰囲気も徐々に穏やかに。はっきりとした閉幕の瞬間はなく、音や人々の動きもゆっくりと日常を取り戻していきます。日常に戻り、ふとした瞬間に、簡単には言い表せない体験の中に身をおいていたのだと感じるかもしません。

チャーザップで過ごす時間を通してより心に残るのは、どれだけ多くの体験をしたかではなく、竹や籐の編み方に触れたことや、慣れない手つきで杵つきをしたこと、そっと漂うシナモンの香り、そして耳に残るゴングの響きなどの一つひとつの瞬間です。
チャーザップは決められたルートを辿るのではなく、自分のペースでゆっくりと過ごせる場所です。だからこそ、そこでの時間は自然と心に残るものになるのでしょう。
ダナン観光促進センター