仏教文化博物館は五行山区にある観世音寺(Quan The Am Pagoda)本堂の2階にあり、仏教文化の貴重な宝物を保管・展示しています。仏教への理解をより深めようとする僧侶や尼僧、仏教信徒にとって重要な資料が収蔵されており、また単に五行山の美しい風景を観に来た観光客にとっても有意義な場所となっています。
1975年に建てられた観世音寺は、2010年から大規模な改修工事を行いました。その目的は、地域の文化を伝える祭りの開催に貢献すること、参拝者の精神的なニーズに応えること、そして信者が仏教を学ぶための理想的な環境を提供することでした。
改修に伴い、観世音寺は篤志家、慈善家、各地の信者の惜しみない支援と寄付を受け、敷地内にベトナム初の仏教文化博物館を設立することができました。この快挙は、僧侶や尼僧、信徒、仏教信者、観光客、地域住民らの援助の賜物といえます。
仏教文化博物館は2016年に一般公開され、ベトナムの仏教美術やアジア各国の仏教工芸品など500点超に及ぶ素晴らしいコレクションを誇ります。観世音寺の住職らは、過去20年以上にわたってこれらの貴重な品々を熱心に収集してきました。
博物館のコレクションの多くはその制作年代が過去数十年前のもので構成されていますが、中にはかなり古い時代に遡るものもあります。仏像、経典版木、仏具、楽器などは7~8世紀頃から19世紀後半~20世紀初頭にかけてのもので、それらはすべて五行山の霊場とされていた当地と観世音寺に関係するものです。
さらに、木やヒスイ、青銅、鉄、石などさまざまな材質で造られた貴重な仏像も数多く展示されています。こうした仏像の多くは、その卓越した芸術性と彫刻的価値から専門家によって国宝級と評価されています。代表的なものとしては、阮朝の王宮で見つかったとの逸話がある子供を抱く翡翠の観音菩薩像や、8体からなる密教の仏像群、将官や僧侶、動物に囲まれて涅槃に入る仏陀が描かれた螺鈿細工の絵、四つ腕の観音菩薩像、弥勒菩薩などで、この他にも琥珀や宝石でできた多くの仏像があります。
仏教文化博物館は、宗教的にも美術的にも計り知れない価値を持つ展示品の選定に細心の注意を払っています。
観世音寺の住職であるティク・フエ・ヴィン師(Thich Hue Vinh)は、展示品・収蔵品のすべてが専門家による徹底した科学的鑑定と綿密な選定プロセスを経たものであると述べました。これらの工芸品は、「見色明心(かたちあるものを見て、悟りをひらく)」という禅の言葉にあるように、過去からのメッセージを目にすることができる窓を提供しているのです。
研究者たちは、こうしたコレクションの文化的・歴史的価値を強調し、保存、認知普及、そしてさらなる研究の必要性を訴えています。
博物館を訪れると、ユニークな精神的・文化的空間に浸りながら、国の歴史において仏教が果たした役割をより深く理解することができるでしょう。
来館者ヴォ・デュイ・フォン氏は、博物館を訪れるたびに知識が広がり、前向きで思いやりに溢れる気持ちが育まれ、自身の内なる善良さを見出すことができると話します。仏教文化博物館には仏像だけでなく、絹本著色仏画や300年以上前の手刺繍なども数多く展示されています。各アイテムにはそれぞれ興味深く神秘的な物語があり、人々が精神的に質の高い生き方を送るための導きしての文化的・歴史的価値を伝えています。
仏教文化博物館を訪れると、精神的・文化的な世界に浸るまたとない機会を得るとともに、国の歴史に仏教が及ぼした影響をひしひしと感じることができるでしょう。博物館は来館者それぞれに善い生き方の原則を思い出させ、かつ同時に、国の文化的・歴史的遺産を保存するという総合的な取り組みに努めています。
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