チャム彫刻博物館はダナン市の中心地に位置しており、ベトナム中部および中部高原地域の遺産と文化財について関心のある旅行者にはぜひ訪れていただきたい場所です。
博物館は現在、古代チャンパ王国の最も豊富で代表的な宗教彫刻コレクションを収蔵・展示しています。チャンパはかつて長きにわたり繁栄した王国で、その壮大な寺院機構や、有形・無形の文化遺産など多くの遺物が未だに現存し、保存されています。
博物館の歴史
チャム彫刻の収集は19世紀後半に始まりました。数多くの彫刻がダナン市、クァンナム省および近郊で発見され、当時「トゥーラン庭園」と呼ばれていた当地に集められました。
コレクションはフランス人考古学者たち、特にフランス国立極東学院(L’École Française d’Extrême Orient、略してEFEO)の学者が情熱を捧げて集めたものです。いくつかの彫刻はフランスに移送され、またハノイやサイゴン(現ホーチミン市)の博物館に収蔵されたものもありますが、最も特徴的な遺物はトゥーラン庭園に残されました(トゥーランとはダナンの当時の地名です)。
チャム彫刻の収蔵を目的とした博物館建造のアイディアは、1902年に生まれました。特に、EFEO考古学部長であったアンリ・パルマンティエ氏の多大なる貢献によってプロジェクトは進行していきました。不断の努力と強い意思の結果として、博物館の最初の建物は1915年に着工、翌1916年には完成し、博物館としての営業は1919年に開始することとなりました。
当初の建物は2人のフランス人建築家、デラバル氏とオクラー氏により設計され、アンリ・パルマンティエからの提案事項であったチャンパ寺院の特徴を盛り込んだものとなるようにデザインされました。博物館はのちに拡張されましたが、初期デザインの特徴は100年以上が経過した今日でも残されています。
1930年代に、博物館の最初の拡張が行われました。1,000平方メートル近い大きさの建物には、今日まで変わらない鑑賞ルートを形成するよう展示室が配置されました。展示室にはチャキエウ、ミーソン、ドンズオン、タップマム・ホールといった地名が、また回廊にはクァンナム、クァンガイ、ビンディン、コントゥムといった省名が呼称に使われました。
2016年には、ダナン市はすべての建物を改修し、展示室の調整とアップグレードを図りました。改修プロジェクトは博物館のすべての棟が観光ツアーで見学されるようになることを狙ったものでした。特に、メインギャラリーにはチャム彫刻のコレクションが配置され、ほかのギャラリーはそれぞれが碑文、陶器、音楽、祭事、そしてニントゥアンに暮らすチャム族に今も継承される伝統家業に関して特化した展示室となるよう構成されました。パフォーマンスや教育活動のためのスペースは2階に確保され、庭園にはリノベーションされたサービスエリアが設けられました。
2011年に、ダナン・チャム彫刻博物館はベトナムの第1級博物館に登録されました。これにより、特にチャンパ王国の、また広くベトナムが誇る文化財の価値保存と振興過程において、博物館の果たした役割と貢献が再認識されました。
住所、チケット代金、開館時間、
- 住所:No. 02, 2 thang 9 Street, Hai Chau District, Da Nang city
- 公式HP:chammuseum.vn
- 開館時間:午前7時30分~11時/午後13時~17時(月曜休館)
- 入館料:60,000ドン/1名あたり/再入場不可
- 各種割引条件の詳細は博物館に直接お問合せください。
- 連絡先:教育通信部(電話番号:(84-236) 3572935 / Eメール:gdtt-baotangcham@danang.gov.vn または info.museumofchamsculpture@gmail.com
オーディオガイド
- 手順1:博物館のWiFiにアクセス
- 手順2:ウェブブラウザを開きサイトにアクセス:https://chamaudio.com
- 手順3:言語(ベトナム語/英語/フランス語)と、案内を聞きたい展示物を選びます。案内情報には各展示物のQRコードや、サイト内の閲覧番号からもアクセスできます。
ガイドツアー
- 5人以上のグループはベトナム語、英語、フランス語のガイドによる案内ツアーが利用できます。
- 利用可能時間:午前: 7時30分~11時/午後: 14時~17時
- グループでプライベートガイドを希望する場合、または英語/フランス語のガイドを希望する場合は、希望日の3日前までに予めお問合せください。
- 連絡先:教育展示課(電話番号:(84-236) 3572935 / Eメール:gdtt-baotangcham@danang.gov.vn またはecdchammuseum@gmail.com)
利用規約
- 来館時にはチケットの提示が必要です。公衆の場にふさわしい服装を着用してください。
- 武器、爆発物、発火物、酸や腐食剤などの有害物、大型家具およびその他危険物の持ち込みは禁止されています。
- 大型荷物は持込禁止です。3kgを超える手荷物は荷物カウンターへの預け入れが必要です(現金や高価な物品の預け入れはできません)。
- 館内での喫煙、レインコートの着用、飲食は禁止されています。館内衛生を保つため、ごみは所定の場所に捨ててください。敷地内に露店はありません。
- 横断幕やペットの持ち込みはご遠慮ください。館内で大きな音を立てる行為は禁止されています。
- 展示物を触る行為、登る行為、ギャラリー内での座り込みはご遠慮ください。
- 写真撮影時の三脚使用およびフラッシュ撮影は禁止です。写真や動画の撮影を主目的とする来館の場合は、必ず予め館長による許可を取得してください。
- 館長の許可なく、博物館の敷地内で文化的・芸術的活動、組織的なレジャー活動を行うことはできません。
- 敷地内での木登り、枝を折る行為、花摘み、果物採集およびそれに類する行為はすべて禁止されています。
- 来館者は博物館に損害を与えた場合、賠償責任を負います。
博物館を探検する
ダナン・チャム彫刻博物館では300点を超える収蔵品を見学することができます。ベトナムの国宝のほか、砂岩、テラコッタ、金属など様々な材料で表現され、5~15世紀に最盛期を迎えたチャンパ王国の栄華が刻まれた彫刻美術など、その素晴らしさに感嘆する時間となることでしょう。展示物は、ヒンドゥー教と仏教の神仏を主題としたもの、多産や豊穣を象徴化したもの、神獣、建築装飾…いずれもベトナム中部に栄えた古代チャンパ王国の文化、宗教、美学を反映したものといえます。
収蔵品は発見地域別に12室に分けて展示されています。展示室にはその地名として、チャキエウ、ミーソン、ドンズオン、クァンビン、クァンチ、トゥアティエン・フエ、ダナン、クァンナム、クァンガイ、タップマム、ビンディン、コントゥムという呼称がつけられています。またテーマ別の展示として、チャンパ王国の碑文、サフィン文化とチャンパ王国の陶器、ニントゥアンに暮らすチャム族の伝統祭事と手芸品、チャンパ王国フォンレ遺跡(ダナン市)に関する考古学調査の結果紹介、という4つの展示ギャラリーがあります。
Danang FantastiCityは、最も重要で象徴的な4つの展示室、チャキエウ、ミーソン、ドンズオン、タップマム・ホールについて、4Dスキャン技術を適用しています。
また国宝である5つの展示物、チャキエウ祭壇、ミーソンE1祭壇、ラクシュミンドラ・ローケシュヴァラ菩薩像(タラ菩薩像)、ドンズオン祭壇(目録番号BTC168)、ガジャシンハ(2022年12月現在、博物館は国宝を6点所蔵)についても、写真と情報を提供しています。
来館した際は、4Dスキャン技術によるサービスを利用することにより、ベトナム中部の人々の歴史と文化を学ぶと同時に、全く新しい刺激的な博物館見学を体験いただけることでしょう。
DANANG CENTER FOR TOURISM PROMOTION